David Keaton / Space Control - 妖艶なシンセが宙を漂うダークな宇宙へ誘うCosmicなMutant Disco

David Keaton / Space Control

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Cosmic Discoの裏側にひっそりと存在した異形の12インチ

1983年にRouletteからひっそりとリリースされた、David Keaton唯一のシングル Space Control のレコメンド。12インチシングルのB面に収録されたこの曲は、当時のチャートにもDJランキングにも登場しなかった無名盤でありながら、後年のCosmic / Italo系ディガーに静かに受け継がれ、現代でもひっそりとプレイされ続ける異形の12インチです。オリジナル盤へのコダワリを持つ方ほど、この独特な空気に強く惹かれるハズっ!


冷たさと肉体性が同居するミュータント・グルーヴ

針を落とすとまず耳を奪うのは、鋭さと温度差を同時に抱えたシンセのうねり…ミニマルに刻むリズムマシーンのビートは無機質なのに、どこか肉体的で妖しい。80年代前半のItalo Discoが持つマシーンの冷たさと、アンダーグラウンドのPost Punk / Dubの湿度が絶妙に絡み合い、まるで暗い宇宙のダンスフロアを漂うような質感を生み出していますね。


Dubエフェクトが生む浮遊と没入のコントラスト

特に印象的なのが、随所に散りばめられたDub Skank的エフェクト…突然フェーダーが遠のくような残響、重力を失ったように浮遊するシンセのレイヤー、そして戻ってくる乾いたビート。その対比がクセになるグルーヴを作り、リスナーの没入感をジワジワと高めます。DJ Harveyあたりがロングセットで気まぐれに差し込んできそうな、あの時空の裂け目系の空気感といったイメージです。


呪文のようなヴォーカルと宇宙管制室の世界観

ヴォーカルの存在も特筆すべきポイントで、David Keatonの囁くような語りは歌というより呪文に近く、シンプルなワードを反復しながら宇宙管制室のような世界観を構築します。リリックはドコか別の次元との交信を示唆する抽象表現ですが、その曖昧さが逆に魅力を増幅させ、曲全体に漂う妄想的なムードと見事に一致していますね。


ジャンルの境界線から生まれた突然変異

この時期、クラブシーンではElectro Funkが台頭し、Italo Discoのメロディアスなアプローチも徐々に広まりつつあったタイミングでした。そんな中で Space Control は、それらをゆがめて組み合わせた「突然変異」のような存在とも言えるでしょう。商業的成功とは無縁でしたが、時代を越えてディガーのレコードバッグに生き残ったのは、この境界線の外側にある音の魅力ゆえではないでしょうか。ジャンルで語り尽くせないミステリアスな魅力を持つ1枚で、Cosmic / Mutant Disco / Italo Disco好きはもちろん、セットにひとつ「影」を落としたいDJにも強くおすすめしたい12インチです。夜中のフロアで、あるいは自宅のターンテーブルで、この異形のサウンドをぜひ体験してくださいっ!


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